東京都における3月の基調消費者物価指数(CPI)は前年同月比で上昇し、日銀の目標である2%を上回る水準を維持した。食料品価格の着実な上昇が主な要因であり、近い将来の利上げ観測を後押しする結果となっている。
加えて、4月からの新年度開始を前に家賃が上昇したことでサービス分野の物価も加速。これにより、価格上昇圧力が広がっているという日銀の見方が裏付けられた形だ。
この物価動向は、4月30日から5月1日にかけて予定されている日銀の金融政策決定会合でも重要な判断材料となる。同会合では、新たな四半期ごとの経済成長と物価見通しも公表される予定だ。
損保ジャパンのエコノミスト、小池真人氏は「本日のデータを見る限り、全国ベースの基調インフレ率は年の前半に3%を上回る水準まで加速すると見られる。ただし、円安による輸入コストの押し上げ効果が薄れるにつれて、後半には鈍化するだろう」と指摘した。
一方で「消費は依然として弱い。問題は、家計がさらなる物価上昇にどこまで耐えられるかだ」とも語っている。
総務省が発表したデータによると、東京都のCPI(生鮮食品を除く)は3月に前年比2.4%上昇。市場予想の2.2%を上回り、2月の2.2%から加速した。
また、日銀が特に注目する、エネルギーと生鮮食品を除いた「コアコアCPI」も3月には前年比2.2%上昇し、2月の1.9%から加速した。これは内需主導の物価動向を示す重要な指標とされている。
特に注目されたのは、家庭の食卓に欠かせないコメの価格上昇だ。3月には前年比92.4%の大幅な値上がりとなり、1976年以来最大の上昇幅を記録した。これは生活費上昇による家計への打撃の大きさを示している。
みずほリサーチ&テクノロジーズの主席エコノミスト、酒井才介氏は「食料品や飲料の価格上昇は一時的ではなく、徐々に定着しつつある」と指摘。そのうえで「こうした粘着性のある物価上昇は、6月または7月の利上げ判断につながる可能性がある」と分析している。
サービス分野の物価上昇も顕著だった。家賃は3月に前年比1.1%上昇し、これは1994年以来最も速いペースだった。これにより、サービス分野全体のインフレ率は2月の0.6%から3月には0.8%に加速した。
日銀は昨年、約10年間にわたる異例の大規模金融緩和政策からの転換を開始し、今年1月には短期金利を0.5%に引き上げた。これは、日本が持続的に2%のインフレ目標を達成する手前にあるという判断に基づいたものである。
日銀の植田和男総裁は、賃金の継続的な上昇が消費を下支えし、企業の価格転嫁を可能にすれば、インフレが安定的に2%前後で推移するとして、今後も段階的に金利を引き上げていく考えを示している。
こうした中、今後のデータや市場動向が日銀の次なる一手に大きな影響を与えることは間違いない。インフレ圧力の広がりと家計の耐性、そして企業の価格設定行動が、今後の金融政策のカギを握っている。